風立ちぬ

観た感想としては、良い映画だったと思う。
アニメではあるが、子ども向けではない。
若い頃なら私としても低評価になる映画だったかもしれない。
自分で、何故、これを良かったと思ったのか、観た直後、自分でもよく判らなかった。
主役の声(庵野さん)は決してうまくはない、若干浮いている感も場面によってはある。
だが、聞いていて、この声質を主役に使いたかったのだな、というのは判る気がして、気にしないようにしてみていた。
少なくとも聞き取りにくい事はないし、と。
で、後から、大分経ってから、判った。というか判ったような気がしてきた。
あの主役は、常に丁寧語で冷静にしゃべっている。
そういう人物として描かれている。
だが、もちろん、感情がない訳ではない。
ただ、彼の感情の激しいシーン、喜・怒・哀・楽の大きなシーンでは「無言」なのだ。(だったと思う)
セリフはない。うめき声も。叫び声も。なかった(と思う)。
表情や動きの映像で*1、彼の感情がこちらに伝わってきて、それでこちらも彼に感情移入をしていた。
そして、私はこの映画を「良い映画」と思ったのだと

*1:音楽の相乗効果も加えて